2011年3月5日土曜日

通貨経済学入門(1)

第1回は、宿輪先生の通貨経済学入門。
http://www.amazon.co.jp/dp/4532133998

「決済システムのすべて」「証券決済システムのすべて」という名著に出会って以来、追っかけのように購入して読んでいる。

しょっぱなから「通貨危機と通貨政策」。
「通貨危機は、通貨のファンダメンタルズと比較し、現在の為替レートが過大評価されている(ギャップがある)時に発生する。為替レートは基本的にはそのギャップを埋めにいく。それが主因である。」
なるほどとは思うけど、ファンダメンタルズの適正値って「こと」が起きるまでなかなか測りにくいもの。起きてしまえば、その後の値が適正だったのかなと思ったり。

1997年のアジア通貨危機。ドルペッグ制を採っていたアジア諸国だったが、アメリカがドル高政策を採りそれにつられ上昇する→輸出が滞る→投機が一気に狙い売りをする の流れ。
LTCM破綻あたりのくだりは触れられていない。

で、記憶に新しい2008年の金融危機など。


通貨を考える際、大事な概念として「シニョレッジ」がふれられている。
狭義のシニョレッジ・・・1万円札を刷る。印刷コストが20円とすると、差額9980円がシニョレッジ。
広義のシニョレッジ・・・額面100万円の国債を市中から買うと、本来は利息を払わないといけない。しかし、100万円の日本銀行券を発行して政府が今すぐ国債を買い取れば、国債の利息分が浮く。

・・・ということらしい。

「広義のシニョレッジ」をいかんなく発揮して「合法的な中央銀行の収入とする」、いわゆるリフレ。よく緩和と言われるやつだけど、やりすぎるとインフレになる。ジンバブエの例がw あれはやりすぎでしょう。
「最後の拠りどころ」のはずの金(きん)の高騰。最近凄いことになってるけど、緩和の裏返しなのかな。

日銀券ルール・・・長期国債の買取り(保有)残高を日本銀行券の発行残高までに留める
これはリフレ派にとっては日銀の呪縛と捉えられているルールですねと。

「銀」について、興味深いはなしが書かれていた。
もともと世界で金が十分に産出されない時代、銀が日常の通貨であったと。
・「石見銀山」が世界遺産に登録されたのは、そういう背景がある
・ドルの$記号は、SilverのSからきているが、そういう背景がある

一度基軸通貨になってしまったドル(かつては基軸通貨はポンドだった)の影響は大きくて、金融危機以降は好き勝手な緩和をしているので、金はまだしも商品が高騰してあんなことに・・・
そんなことを考えている時のバーナンキ氏の抜け毛が気になる今日この頃。(私見多し)

(1章おわり)

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