2011年3月6日日曜日

通貨経済学入門(2)

変動相場制と固定相場制

各国の採っている通貨制度
・カレンシーボード制
マネーサプライを厳密に外貨準備高に合わせて制限する。外貨本位制
香港、ECCU(東カリブ通貨同盟)、ブルネイ

・(伝統的)固定相場制
アラブ首長国連邦、サウジアラビア等

・アジャスタブルペッグ制
その場の状況により目標とする為替レートを変更できる
中国、アンゴラ、アゼルバイジャン、バングラデシュ、ガイアナ、ホンジュラス、レバノン、マラウイ、スリナム、トリニダードトバコ、イエメン

・クローリングペッグ制
当局が方向を決めて、小刻みに基準為替レートを変動する
ボリビア、イラク、ニカラグア、ウズベキスタン、ボツワナ

・ターゲットゾーン制
一定の範囲内に為替レートを押さえ上限・下限で介入する
カザフスタン、ベラルーシ、シリア、トンガ

・その他固定相場制

・管理変動相場制(管理フロート制)
マネーサプライ目標 アフリカに多い
インフレーションターゲット ブラジル、南アフリカ、インドネシア、タイ、フィリピン等
その他

・自由変動相場制
マネーサプライ目標 コンゴ
インフレーションターゲット オーストラリア、カナダ、ニュージーランド、イギリス、スイス等 
その他 日本、アメリカ、EU諸国など

とまあ、固定相場・変動相場といってもさまざまな種類がある。
(気になるところ)中国は「アジャスタブルペッグ制」を採っていて、ある程度通貨価値をコントロールできるようになっているが、GDPが多い国ではいまや特殊な例で、アメリカの批判の矢面に立っている。

通貨のファンダメンタルズ
経常収支、利子率(インフレ率)、経済成長率、財政収支 + 相場の予想

実質実効為替レート・・・インフレ率を加味。1995年に比べると大して円高でない。しかし心理的影響。
(個人的には実質実効為替レートを物差しにするとデフレ容認に傾きやすい気がして、どうも好きではない・・・こんな話も↓

片岡剛士さんの「実質実効為替レートと交易条件と金融政策」についてのまとめ  http://togetter.com/li/64349
 )

さて、ドイツ・マルクについて。
ドイツ中銀のブンデスバンクはインフレファイターとして有名。第2次世界大戦のハイパーインフレのトラウマ。→ECBもそれを継承
ECBは物価の安定のみを最終目標とし、物価の安定の実現のために中間目標としてマネーサプライを管理。

ブンデスバンクのシュレジンガー元総裁
「ドイツには米国のような通貨政策は存在しない。金融政策で経済の安定を目指すことが通貨当局の使命であり、景気を浴するのは財政つまり政治の世界の問題。たとえば東ドイツの高い失業率も、労働の流動化を促さない政治的な問題で、中央銀行が関与すべきではない」

(第2章おわり)

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